国内旅行

高尾山

5月3日

5月連休の後半初日に当たる3日(木)朝、だらだらした休暇を有効的に且つ後悔をしないためにもと、かねがね考えていた高尾山ハイクに出かけた。高尾山は、自宅から比較的近く標高も599メートルとお手ごろの割には、ハイキングと呼ぶには首をかしげる位の急坂があったりする山道である。

今回のハイクでおそらく人生3度目の訪問になる。最初に訪れたのは入社した時分なので30年以上も前の事、会社の秋の行楽をここで過ごしたた記憶がある。当時では今のような娯楽もあまり無く、年に一度は社員旅行に行ったり何かといえば会社の人が休日に寄り集まり海に山にと行楽を行った。その頃はそれはそれでとても楽しい時間を過ごす事が出来、「楽しい」分類の記憶として自分の中では整理されている。

清滝駅入り口

2回目の訪問は、記憶が明確でないが家族でリフトに乗った事をなんとなく記憶しているくらいで、これも本当に行ったのかは定かでない。しかし、これを家族に確認するのは自分にとってリスクになるので、曖昧なままにしておこう。

高尾山への交通手段といえば、京王電鉄の高尾山口下車が最も便利(それしかない!)で、そこからはケーブルカーやリフトが運行されており山頂の途中まで連れて行ってくれる事は良く知られている。

今日出発したのは、早朝・・といっても、7時過ぎの事。まだ家族の寝息が聞こえる中、そ~~っと身支度をして一人で出かけた。事前に地図を見ることも無く、何とかなるワといつもの呑気モードだったので、京王線だったら「橋本駅」と疑いも無く乗り換えようと駅に向かっている自分がいた。いくら朝早いからといってもそれは無いよね。乗車券売機の前で高尾山口を探したが、橋本からは直通では線路は無い事に気づき、ひとりニヤニヤと薄笑い。再びJRに乗り込み八王子~高尾と乗り継ぎ、再びリックを背負った大勢の人と一緒の京王線に乗りやっとの事で高尾山口までたどり着いた。この時点でも8時45分頃であった。行楽には少し気温が高いくらいの天候に恵まれたが、まだ時間が早いせいか駅前の商店街では準備の真っ最中で人の出もまだまばらな状態であった。

私は、登山口からケーブルカーにも乗らず歩きで山頂を目指そうとしたのだが、頂上までの歩きのルートも3ルートがあることが高尾山口駅前にあったパンフレットで判った。

  • 1号路(表参道コース)3.8Kmおよそ100分.平均してなだらかで高尾山薬王寺への参道でもあることから舗装された道路やきれいな階段で構成されている。
  • 6号路(びわ滝コース)3.3Kmおよそ90分.沢に沿って頂上まで行く事になり夏にお勧めとの事・・
  • 稲荷山コース( 見晴らし尾根コース )3.1Kmおよそ90分.結構ハードな山道で構成されており、登山靴を履いて上ることを進める。

清滝駅

どの道を行くべきか思案していたが、人の流れは稲荷山コースに向かっていたので、「ま、いっか」と流れに沿って歩き始めた。
高尾山は「明治の森高尾国定公園」に指定されており、東海自然歩道の東の基点になっている。 東海自然歩道は、「明治の森高尾国定公園」と、大阪の「明治の森箕面国定公園」を結ぶ、緑豊かな自然と貴重な歴史を伝える文化財を訪ね、心身の健康と安らぎを与える総延長1,697.2 km の長距離自然歩道で、コースは直に自然に触れ、埋もれがちの貴重な文化財に出会うことを条件に選定され、関係都道府県は1都2府8県に及び、東京都・大阪府・京都府・神奈川県・山梨県・静岡県・愛知県・岐阜県・三重県・滋賀県・奈良県の各都府県を国定公園でつなぐ形になり、名勝地をはじめとして古戦場、旧街道、伝説の地など歴史を忍ばせるものが随所に見られる。全コースを歩くと40日から50日程かかると言われおり、また新しい標的が現れたことを認識しました。 これに挑戦するかはもう少し時間を置いて判断しよう。あまりいろんなことを熱中すると時間が無くなってしまう・・・ 稲荷山コース

稲荷山コースで高尾山頂を目指す。朝が早いので人はまだ多くないのか、そもそもこんなハードな道なので人が少ないのか、初めての私には判断できないがとにかく人が少ないことは歩きやすい。多くの人は、「登山」の格好でひたすら山頂を目指しているので、その人に従ってあまり焦らずに進んでいく。自分が先頭に立った場合、ペースが判らずついついスピードが出てしまい最後には力尽きてダウンするお粗末さが過去にあった。人の後に付いて歩くとは、容易い。早ければ早いといって文句を言えばいいし、遅い場合は遅いといって前を突けばいい。とにかくお手本となる人に文句を言っていればいい。そんな人ほど自ら進んで前を歩こうとしない。たぶん歩けないのだ。大人の世界ではこんな人が多く、若い内に経験を積ますとの言い訳で、新人に前を歩かせやいのやいのと文句ばかり言っている。古く親方、弟子の時代には親方のやっている姿を盗み見して弟子が育つ事で師弟の上下関係が成り立っていたが、サラリーマンの関係は給料の査定関係でのみ繋がってる。こんなことを考えながら、この道を一歩ずつ踏みしめながら山頂を目指している。
標高が高くなるにつれ空気は清清しく感じ、ウグイスの声が時折聞こえてくる。春のはじめにはきれいだろうと想像できる桜の木が青々しい葉を茂らせ時折吹く風にゆれていた。

稲荷山コース

今の時代には、iPODに代表される音楽ツールが手軽に持ち運びでき、山に登るときもその威力は発揮できるが、あえて使わないのがいい。いつも喧騒な生活を送っている我々は、「静か」を聞く事を楽しむ必要がある。鳥のさえずりもその静かのひとつである。。歩きながら世間話をするおばちゃんには閉口だ。こんなときはiPODが必要!

遠くに見えるは・・・

歩きながら垣間見ることの出来る遠くの風景に足が止まってしまう。普段の生活では遠くを見ることがなくなっているので、こうして見える遠くの景色に思わずシャッターを押してしまう。また、「わ~~~」と口に出てしまう。場所によっては富士山も顔をのぞかせているが、空気が白んでいて明瞭には見えず見落としてしまうほど。それゆえ、カメラでは捕らえづらいことは言うまでも無い。秋の空はどうかは想像できないが、天高く澄み切っていれば遠く千葉あたりまで見えるかもしれない。

稲荷山コース

失礼なので写真は撮らなかったが、こんな山道をランニングしている人を数人見かけた。マラソンの練習をしているときに言われたこととして、クロスカントリーの練習が良いと。平坦なトラックをだらだら走るよりアップダウンの多いところを走ることで、筋力がアップし持続力も向上すると聞いた。しかしこんな山道で練習するとは思いつかなかった。靴はランニングシューズ、半そでのランニングシャツと長いタイツを履いた方を多く見かけた。どの方もスイスイと駆け上っていく。お年よりも女性に方もいらっしゃった。こんなところで普段から練習していればフルマラソンも苦にならないのだろうに、簡単には真似できない場面に出くわしてしまった。私もいつの日か高尾山でビューも・・・

シャガ

左の花は「射干:シャガ」と呼ばれる花です。とても可憐な容貌なのになぜか寂しそうな場所を選んで咲いているように思えました。道端に咲いている花にも気づかないようになった今の生活環境にいると、花の名前も知る必要も無く覚える必然性も感じていなかった。こうして実際、足元の花に気づいてみて、「あぁ、そこに咲いていたのかぁ」と呟いても「さぁて、この名前は?出身は?・・・」こんな自分が今の社会の縮図になっている。
歩くうちに、高尾山山頂を越え、あっという間に小仏城山まで足を伸ばしていた。とは言うものの、それなりにきつい階段と坂道が続き、軽々とは行かない。

1号路(表参道)

手元に地図があればこの先の予定も立てられたのに、駅前で入手したパンフレットでは詳細の道が記載されておらず、目の前の分岐をどう対処すればいいのかさえも判らないありさま。出直してくるのが最善であろう。また靴もウォーキングシューズではゴツゴツした石ころ道はちょっと難でがすな。お昼を過ぎたので、帰路に着いた。昼ごはん用に麓からおにぎりを持ってきたが、なんとなくここでは食べる気がしなかった。帰路は1号路(表参道)を使ってみた。1号路は、さすがにメジャー路であるため、道もきれいに整備されており歩きやすい。が、反面人の多さにはいささか閉口気味。時間もお昼になったことで人が多くなったこともあるかもしれないが、登りの稲荷コースの3~4倍の多さかと推測する。また、足のしゃんとしない老人、わがまま言い放題の子供、普段靴をはいた女性、ペットの犬を連れた夫婦、韓国人、ヨーロッパ人の家族、、といろんな人が目に入ってきた。こんな事もあって、帰りの道はごった返して前になかなか進めない。

全般を通じて天気に恵まれ、最近では初めての高尾山ハイクはまずますの成果。帰宅したのは3時ころだが両足は結構乳酸が出てきたようだ。あと連休は3日あるが何をするか考えながら帰宅した。

ここ数ヶ月前から「浅田次郎」の作品に没頭している。速度は遅く1週間に1冊のペース。エッセィ風の作品も面白いが、まじめ系の創作ものが良い。このハイクの行き帰りに読んだのが「天国までの百マイル」。なぜか電車の中で読みながら泣いてしまった。年とったので涙腺が緩んだのか・・