一関いちのせき(岩手県)
出張帰りに勿論自腹で温泉に浸かってきました。
岩手県一関市。2005年9月の市町村合併で約3倍の1,133.10km2の面積を、人口は2倍の124,000人に膨れた。聞き伝えによると、過疎指定都市の指定を受けるため広大な土地とそれをはるかに下回る人口が合併されたとか・・・
たどり着いたのは、矢びつの温泉瑞泉閣。一ノ関駅から車で30分の距離。遠いか近いかは三者三様。神経痛や筋肉痛に効く温泉宿で、4階建てのこのあたりでは大きい建物。ナンたったって、田んぼの中の一軒家なので、そうなるでしょう。温泉は、露天と内風呂があり、自分にとっては少し熱めの温度。本当はじっくりつかりたかったけど露天ですら熱くて20分もすればゆでだこ状態で、やや閉口。建物自体は比較的新しそうではあるが、あまり豪華さはなく、質素な感が強い。夕朝食は、宴会場を思わせる大部屋で頂くが、華やかさが無くこれがまた寂しさを助長する有様。
庭に咲いたサルビアの花が情緒を誘い、尚一層寂しさを感じる。国道に面したこの旅館には4~50名ほどのお客が滞在されていたが、人数を感じなせい静けさが充満していた。
「かつて中尊寺があったといわれる霊山・山王山の麓にある天然温泉の宿。効能あらたかな湯と旬の食材が自慢。」とのチャッチフレーズでWeb上に掲載されており、訪れるまでは相当期待した温泉地であったが、実際は中くらいのレベルかと実感した。以前に訪れた温泉が良ぎたせいか少しがっかりした。ただ、温泉も食事も不満が出るものではないので、心ある方はご利用いただいても良いかと。
滞在した翌日の早朝、飲んではいたものの目覚めはいつもどおり大変良く5時30分には旅館の前で、柔軟体操をしていた。気温はやや低く、うっすら小雨が降る天気で走るには絶好のコンディションに心ワクワクと走り出した。ここらあたりは、雪の多い地帯で、田んぼの中にある家々は防雪林とともに赤い屋根を頂き情緒豊かにたたずんでいた。稲穂もそろそろ訪れる稲刈りを待っているようで、黄金色に輝きを増していた。また、空は緩やかな雨のせいか薄く白んでいて幻想的な朝を演出してくれていた。 電波の入りが悪いとのことで、TVアンテナはどこの家でも掲げておらず、CATVを使っての受信とのことであった。やはり、こんな環境では車は必須アイテムであろうし、昨今のガソリン高騰は、一家の一大事であろうから、ガソリン税の減税を行うのが適切かと走りながら考えた。
走りながら見かけた池とそれが落ちるダム。水の色がとっても神秘的で、なおかつ鏡のように張りつめた湖面が周りの静けさにとけ込んで、「静粛」の単語がよく似合う風景を見せてくれた。「矢櫃(やびつ)ダム」とかかれていた水源確保のダムから勢いよく流れ出す水が、走った体を冷ましてくれる。この滝を見ることだけに掛けられたと思える橋の上から見る勢い良く流れ落ちる水の高さにも別の寒さを感じ、朝ごはんを前に空腹感をも忘れさせてくれる体感である。
鏡のような湖面と透き通る色の水。は~~っと息を詰まらせる池。名前は何なのかわからないが、おそらく温泉の成分の影響と思うが、コバルトブルーのきれいな色を発色していた。
この後、旅館に帰りもう一度温泉に使った後、朝食をいただき一日の始まりを迎える。朝から少し降っていた雨も上がり日差しも出てきた。
近くに厳美渓(げんびけい)という名の国の名勝天然記念物に指定され、栗駒山を源流とする磐井川の中流に位置し日本百景にも数えられているところがある。しかし、今回訪れるまで、名前すら知らない場所であった。何でも、年間90万人も観光客が訪れるという場所との事で、岩手県でも大船渡市の碁石海岸と並んで2ヶ所しかない天然記念物とその位置づけも大そうなものなんですが、、、知らなかった。碁石海岸もネ。
厳美渓は、市の案内板によると「岩石:今から900万年前の火山活動みよる凝灰岩が、堆積当時の高温と自重による圧力のため二次的に変質して生じた石英安山岩質溶結凝灰岩(せきえいあんざんがんしつようけつぎょうかいがん)で、方状節理(箱型のひび割れ)が発達しています。」「甌穴(おうけつ):別名ポットホール(甕穴)ともいい、河床の岩盤に生じたへこみに入り込んだ石が、水流とともに回転しながらまわりを削っててきた丸いくぼみをいいます。」
まあ、いろんなことがあって、この姿になったとの事で、旅館の近くの矢美津ダムから流れてくるコバルトブルーの水がこのような自然美を作っているって事です。海の近くで育った私にとっては、ついついカメラのシャッターを押してしまう風景です。
ここで風景にまして面白いのは、「空飛ぶ団子」。最初なんで空を飛ぶんだと思っていましたが、実態をみると「あ~~」とがっかりさせられる。左の写真ではわかり難いが、川底の休憩所から川の上の団子屋までワイヤーで結ばれていて、休憩所から籠にお金根をいれ、"コンコン"と板を木槌でたたけば、スルスルと店に籠が引き上げられ代わりに団子が降りてくる、との仕掛けで、まるで団子が空を飛んでいるかのようでやってくることから。呼ばれている・・呼ばされている。団子は、「あん」「ごま」「しょうゆ」の3本で400円。直接店で買うと360円と籠を使った場合は40円が上乗せされているが、それでも結構評判でコンコンとやっている。この籠には、団子のほかに、紙コップに入れたお茶もやってくるが、これがこぼれずにやってくるので面白い。 右の写真は直接お店で買った5本いり600円ので、結構おいしい。お茶も。団子の名前は郭公(かっこう)団子。
その次の訪れたのは「猊鼻渓(げいびけい)」。同じような名前で煩わしいが。。。
JR大船渡線の猊鼻渓駅の近くにある川くだりの乗船場にやってきた。一見、お土産屋さんを思わせる佇まいで、魅力半減ですが、乗船券を買ったが、先日の台風9号で途中折り返しの船くだりになっているため、1500円のところ1200円の値引き価格。値引きしなくて良いので、全部見せてほしかった。 砂鉄川が石灰石を侵食して出来た2Kmの渓谷で、川の流れはとても緩やかで、川自体も平均1m程度の深さ。これを何隻もの川くだりの屋形船が往来している。特に、秋の紅葉季節は賑やかになるだろうと思わせる風景であるが、夏は夏で涼しさを楽しむにはいい感じ。
船の大きさはいろいろあって、30人から60人乗りの船があり、それぞれを一人の船頭さんが操っている。およそ3㌧の人間を一人が操るわけで、ちょっと驚き。船頭さんは24名いらっしゃって、中には女性2名が含まれている。「里美さん」と「美幸さん」どちらも若いお方とお見受けるるが、力が要る仕事で男の中に在ってひときわ目立つ存在である。
私の乗った船は「佐々木利治さん」が船頭で、東北の人らしく物静かな方で、ほかの船では船頭さんの冗談で楽しそうな笑い声が聞こえているのに、無駄口はたたかず、物静かに観光案内をしているだけでした。でも、最後にはいい喉を披露してくれ、それが谷間に響き感動する声の持ち主でした。 もうちょっと愛想がよければよかったのにネ。
船頭さんがどうであれ、この渓谷美は美しい。日差しは無く、暑さは感じられない。船が川上に向かっていくと何故か薄い靄が川面に出てきて、とても幻想的な景色を見せてくれる。....
川の流れは緩やかで、巨大な鯉がゆっくりと泳いでいる。乗船時に50円で販売していた魚のえさを与えると船に寄り添って泳いでくる。これもあって、巨大化しているのかもしれない。
尻切れトンボの旅行記であるが、これで一関の旅を終える。
ちなみに、市の名前は「一関」と書くがJRの駅名は「一ノ関」と"ノ"の字が入る。この理由を探していると、神戸の三宮にはJRの三ノ宮駅と阪急/阪神の三宮駅がある事、同じく神戸の西宮市にもJR西ノ宮駅があったが2007年3月に西宮駅に改名。なお、JR西日本福知山線の西宮名塩駅は当初から"ノ"は入っていなかった。
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